※本記事は住宅情報WEBマガジンDaily Lives Niigataによる取材記事です。
川辺の土地を買って家づくり
Hさん夫婦が住んでいる信濃川沿いの一軒家は、モリタ装芸の定額制注文住宅『PePe』の32坪タイプ。
4.5間×3.5間の平面を持つほぼ総二階の建物で、悠々と流れる信濃川を2階リビングから一望できる。
「インスタグラムでモリタ装芸さんのPePeのモデルハウスを見つけ、素敵な雰囲気の家だなあと思い見学を申し込みました。実際に訪れてみると建物のすべてが良かったですし、営業の櫻田さんや設計の方の人柄にも惹かれました。特にこちらから要望をしなくてもおしゃれな家ができ上がるんだろうなあと思いましたね」と奥様。
夫婦で同じ定額制注文住宅の『ROMO』にするか『PePe』にするかを検討した結果、三角屋根の外観や勾配天井にできることが決め手となりPePeを選んだという。
「僕は自由設計もいいなと思っていたんですが、打ち合わせが始まってみると形が決まっている中で間取りを詰めていく過程が楽しかったです」(ご主人)。
新居のLDKはそれまで住んでいたマンションの間取りに寄せたという。「そこは対面キッチンとダイニングが横並びで、キッチンの前にリビングがあって。それから、LDKに面して広いバルコニーがあり、そこでよく晩酌をしていました」と奥様。
以前のマンションも川沿いの立地で、窓の外の開放感は共通するものがある。新しい土地でも、慣れ親しんだマンションのレイアウトを再現することで心地いい暮らしが実現できるという確信が奥様にはあった。
タイルとアーチ型の開口がかわいい玄関
ではさっそくH邸の中を見ていこう。
コーナー部分を切り欠いたポーチはPePe共通のもので、H邸は1畳分が設けられている。
玄関ドアを開けたところがこちら。
1坪分の土間はシックなタイル張り(名古屋モザイク工業/MSY-R3050)で、右手には高さを抑えた下足入れ。右手奥には2階へと続く階段が伸びている。
玄関の横にはアーチ型のかわいい開口部があり、その中は1畳の収納スペースになっている。
壁からちょこんと突き出している、焼き色が付いた銅製のブラケットライトが味わい深い。
玄関前のドアの中はトイレ。
こちらはペンダントライトが吊り下げられた空間で、サイドには奥行120mmの細いカウンターが造作されており、ちょっとした小物を飾ることができる。
季節や時間によって表情を変える川沿いの風景
次に玄関ホールから2階へと向かった。
2階ホールに着きガラス窓付きの引き戸を開くと、目の前には開放的な空間がパッと広がった。
L字型のLDKは、手前がリビングと3.5畳のバルコニー。奥に対面キッチンとダイニングが配されており、以前住んでいたマンションのレイアウトを踏襲している。
丸みを帯びた赤いソファはSPIGA+(スピガ)のANGELA(アンジェラ)。シンプル&ナチュラルな空間の差し色として存在感を放っている。
三角形の屋根に合わせて勾配天井にできるのがPePeの特徴で、高天井の空間が気持ちいい。
そして、リビングやダイニングの窓からは気持ちいいリバービューを堪能できる。
すぐ目の前はやすらぎ堤。散歩する人やランニングをする人が行き交い、その奥の信濃川をカヌーやボート、観光船が通り過ぎていく。
「夜に仕事を終えて帰って来た時、カーテン越しに透けて見えるビルの光がとてもおしゃれなんです。対岸の建物が夕日を反射する夕方もきれいですし、朝日もいいですね。私は冬が特に好きで、雪の日にコーヒーを飲みながら外を眺めて過ごす時間も気に入っています。それから冬の晴れた日は遠くの山のてっぺんまで見えて、その景色もとてもきれいなんですよ」(奥様)。
バルコニーは植物を育てたり、天気がいい日にぼーっとしたりするための場所。
ここでコーヒーを飲むのもHさん夫婦のお気に入りの過ごし方だ。
リビング側の天井には天窓が切られており、そこからの光がLDK全体をより明るくしている。
「天窓からの光は季節や時間によって違う場所に落ちてきます。お日様の動きを感じられる家ですね」(奥様)。
雨の日も楽しみになる、心落ち着くダイニング
ダイニングの角はコーナー窓になっており、景色を広く眺められる。
この日は雨天で、それゆえにダイニングは少しアンニュイな雰囲気に包まれていた。しかし、そのやわらかい光で満たされたダイニングは心を静めてゆっくりと過ごすのにうってつけだ。冬の雪の日が楽しみになるのもうなづける。
ダイニングチェアとベンチはジャーナルスタンダードファニチャーのPAXTON(パクストン)。くすんだ色のコーデュロイ生地もどことなく穏やかな気持ちにさせてくれる。
窓台には奥様が集めてきた雑貨が並び、卓上にはガラスの花器に飾られた花が置かれている。
「昔から雑貨を集めるのが好きで、旅行先の沖縄で買った花瓶や蚤の市で買った雑貨、モリタ装芸さんが運営しているショップKiKiで買ったものも並んでいます」(奥様)。
古町のキャンドル教室アミュレットのワークショップで作ったジェルグラデーションキャンドルに火を灯すのも、家でまったり過ごす時の楽しみだという。
奥様は計画当初、ダイニングとベランダの間もガラス窓にしようと考えていたが、設計者からの「壁があった方が落ち着いた空間になる」という助言を受けて壁にした。
棟木まで伸びる大きな白い壁に飾られているのは、イギリスの女性作家サム・トフトのアート。ティータイムの絵がダイニングにゆったりとした空気をつくり出している。
お気に入りの器が詰まったカップボード
ダイニングの隣は開放的な空間を見渡すオープンタイプのペニンシュラ型キッチン。
背面にはコーヒーを入れるのにちょうどいいカップボードが造作されている。
そこに入れられているのは、器も好きな奥様が集めてきたさまざまな皿や丼、小鉢など。ちょっとレトロな和柄の器は親戚から譲り受けたものなのだそう。
その上の飾り棚にはグラスやコーヒーのドリッパーが並び、カフェのような一角を演出。
扉のない収納は取り出すのも片付けるのもスムーズで、お気に入りの食器は心地いいインテリアにもなっている。
キッチン奥の余ったスペースも食器棚兼飾り棚として活用。
棚にはお気に入りのカップと共に海外旅行先で買った絵や写真が飾られており、思い出を楽しむ一角になっている。
タイルや照明にもこだわった水回り
H邸の2階はLDKの他に水回りがまとまっている。
1坪の洗面脱衣室にはLIXIL・ピアラの洗面ボウルとキャビネットを組み合わせた造作洗面台。壁に張られた白いスクエアタイルがさり気ないアクセントになっている。
鏡の上の照明はナラのランプシェードが味わいあるブラケットライト。こちらは奥様が自ら購入した支給品なのだそう。
2階のトイレは間取りの都合上建物の少し内側にレイアウトしているが、造作の室内窓をつくり、階段の高窓からの光を採り込む工夫がなされているのも面白い。
譲り受けた銘木を寝室のカウンターに
次に、階段を下りて再び1階へと向かった。1階には玄関とトイレの他に、2つの個室とウォークインクローゼットが配されている。
建物の南東側の部屋は13.5畳の寝室。今は広々と使っているが、必要に応じて間仕切り壁を設け、4.5畳と9畳の2部屋に分けることもできる。
奥の掃き出し窓のそばには造作のカウンターと手洗い器。
こちらは旅館の客室をイメージして設えたもので、カウンターに使っている柿の木の一枚板は奥様の親戚から譲り受けたものだという。
「秋田に住むおじが『家を建てるなら柿の木の一枚板をあげるよ』と言うので、旅行がてら取りに行ったんです。何に使えるか考えずにもらってきたものですが、この場所にぴったりでした」(奥様)。
マットな質感の洗面ボウルはサンワカンパニーの「シガラキロール すずりブラック」で一枚板との相性もいい。
寝室の一角にはオーディオのセットが組まれており、音楽鑑賞やプロジェクターを使って映画を楽しむのにも活用している。
カフェのような居心地を楽しむ日常
「この家に住んでからあまりカフェに行きたいと思わなくなりました」と奥様は話す。「家がカフェみたいですし、食材を買ってきて、好きな食器でおいしいものを食べることが楽しみになっています」。
ご主人も「休日に『暇だから外に行こう』というのが少なくなりました。それから買い物に出掛けると何か家をカスタマイズできるものがないか?と考えるようになりましたね」と話す。
「私とHさん夫婦は年齢が同じで、感覚が似ている部分も多くありました。家づくりにおいていろいろなご提案をさせて頂きましたが、雑貨の選び方や使い方などを教えて頂いたりもしました。計画中は、時間帯によって景色の見え方がどのように変化するのかを体感するために、何度もこのあたりを訪れていましたが、その時間はとてもいいリフレッシュにもなっていました。この家での暮らしを楽しんで頂いているようでとてもうれしいです」とH邸を担当した営業の櫻田佳子さん。
川の流れが速い時は上流で雨がたくさん降ったのかな?と想像したり、空気が澄んでいる日の鮮やかな山の景色に見とれたり。新潟市中心部でありながら、移り変わる自然をいつもすぐそばに感じられるH邸。
旅先で素敵なホテルに泊まった時「外に出るのがもったいない」と思う感覚がある。そんな気持ちになれる居心地のいい空気がこの家にはいつも流れている。
H邸
新潟市中央区
延床面積 102.48㎡(31.00坪)
構造 木造軸組工法
竣工年月 2022年7月
写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平