※本記事は住宅情報WEBマガジンDaily Lives Niigataによる取材記事です。
200軒以上の住宅を見学し、モリタ装芸へ
新潟市北区旧豊栄市で生まれ育ったご主人。実家まで車で5分程のところにある住宅地の土地を購入したのは、家が完成する3年程前だったという。
Iさん夫婦は、その頃に一度モリタ装芸を訪ねプランを出してもらっていたが、その時は他のハウスメーカーと家づくりを進めることに決めた。
しかし、そのハウスメーカーとの家づくりは途中で破談。
「その時は僕が勢いで進めていて。打ち合わせのテンポも速く、どんどん仕様を決めていったんです。そんな中で『もっと、ゆっくりと進めたかった』という妻の気持ちをないがしろにしていたことに気づいて…」と、ご主人は当時のことを振り返る。
その後1年程は家づくり計画を休んでいたが、住宅のことを考えるのが好きなご主人は土日の度に住宅会社が行う見学会に足を運び、通算で70社、200軒以上の家を見たという。
そして、再びモリタ装芸の扉を叩いた。
丁寧な説明を受けながら、安心して進められた
「妻は間取り重視、僕は性能やデザインが大事。2人で家に求める価値観が少し違うことが分かったので、お互い何を重視するか項目を出して、それぞれが何%くらいなのかウェイトを見えるようにしたんです。その中で再びモリタ装芸さんが候補に上がりました」とご主人。
「要望に対して『やりましょう!』といつもチャレンジングな姿勢の設計・阿部さん。そして、押さえるべきところをしっかり押さえる営業・樋宮さん。打ち合わせはいつも楽しくて、このお二人と家を建てたい!と思いました。モリタ装芸さんは、性能面も卒がなく安心できると感じましたし」と続けた。
その後、モリタ装芸で家を建てたオーナー宅を見学させてもらったことも、依頼をする決め手の一つになったという。「施主さんに家の中を案内して頂いたんですが、すごく気に入って暮らしていることが伝わってきました。それぞれの家族に合った家を建てるモリタ装芸さんの提案力の高さを感じましたね」。
しかし、その後の打ち合わせは決してスムーズに進んだわけではなく、「合計で9プラン以上を出しました(笑)」とモリタ装芸の設計担当・阿部龍之介さんは苦笑する。
「最初は壁付けキッチンで進めていましたが、細かい修正をしていくとズレが出て全体的に崩れてしまいます。その修正を繰り返していたんですが、7プラン目でそれまでと全く違うコの字型のプランを提案しました」。
「その案がとても新鮮で。大きい箱と小さい箱が並んでいるようなデザインがいいなと思いました。あと、僕は不安症なので、施工が始まってからも、『火打梁が熱橋になって断熱性能が落ちないですか?』とか『基礎工事の後に雨が降ったけど大丈夫ですか?』とか逐一連絡をしていたんですが、そんな質問に対しては樋宮さんと阿部さんがきちんと答えてくれて安心することができました」(ご主人)。
そうして2020年4月に待望の住まいが完成し。引き渡しが行われた。
「頻繁にIさんから質問が来るので、引き渡し後もしばらくはドキドキしていましたね」と営業担当・樋宮僚さんは笑う。
空間と調和する造作家具に、便利な生活動線
玄関ドアを開けると、正面に設けられた窓から外へと視線が抜けていく。
その横はOSB有孔ボードで仕上げられたシューズクローク。そこにキャンプや登山が好きなIさん夫婦のアウトドア道具やリュックなどが格納されている。
「結婚する前は2人でよく山登りに行っていました。最近は山に登らなくなりましたが、家族でキャンプを楽しんでいますね」とご主人。
「この家には中庭があるので、自宅でもバーベキューができるようになったのがうれしいですね」(奥様)。
玄関から廊下を進んで行くと、最初に現れるのはモールテックス仕上げの大きな洗面台。
モリタ装芸が得意とする造作の洗面台と収納棚、鏡が空間と一体になり、既製品では実現できない美しい一角ができ上がっていた。
幅広の洗面台は植物を飾る余裕があり、それが心のゆとりをもつくり出す。広い天板は洗濯物をたたむ台としても重宝しているという。
その隣は洗面脱衣室で、そこで洗濯・物干しが完結。
さらにそこからパントリー、キッチンが一直線に並び、奥様が望んだ使いやすい家事動線が実現された。
吹き抜けを中心とした、光あふれる住まい
家族がくつろぐLDKは、家の奥にレイアウト。
ダウンフロアの畳リビング、ダイニングテーブルが一体に造作されたキッチン、そしてキッチンの目の前には吹き抜けのホールが設けられており、窓越しに中庭が眺められる。
取材に訪れたこの日は雨だったが、2階のフィックス窓からの光がホールへと注ぎ、ホールを中心に柔らかい光が周辺へと広がっていた。
「ゆったりとしたホールは図面で見た時はちょっと広すぎるかな?と思いましたが、ここを子どもが走り回って遊んでいるので、この広さで良かったなと思いました」(ご主人)。
「よくここで『だるまさんが転んだ』をやっていますね(笑)」(奥様)。
畳敷きのリビングは一段下がった落ち着ける空間。
大きな造作ソファは家族みんなでゆったりとくつろいだり、昼寝をするのにもちょうどいい大きさだ。
夜にはライトアップされた庭の緑を眺めながら、一層リラックスした時間を過ごすことができる。
「ちょうどエアコンの風が気持ちよく当たる場所なので、夏はここに布団を敷いてみんなで寝ていたんですが、子どもたちがすごく喜んでしましたね。冬はコタツを置いたりして、四季を楽しめる空間にしたいと思っています」とご主人。
カフェライクなキッチンのタイルはDIYで
ダイニングは造作テーブルで、キッチン前もカウンターとして使えるようになっている。
フローリングは国産のクリ材を使っており、最後のオイル塗装にはIさん夫婦も参加して仕上げていった。
キッチン後ろの壁はサブウェイタイルと飾り棚でカフェライクに仕上げられており、棚にはご主人が好きなコーヒー豆や道具が並んでいる。
「実はタイルを張る費用は予算オーバーになってしまって。そこで、阿部さんが材料だけ取り寄せてDIYで貼ることを提案してくださったんです。週末に2日間かけてタイル貼りをしたんですが、想像していたよりも大変で…。何度もホームセンターに目地を買いに走りましたね(笑)。忙しい中、阿部さんにも手伝ってもらって無事に貼り終えることができ、いい思い出になりました」とご主人。
このキッチンは奥様にとってもお気に入りの場所。「目の前の吹き抜けから光が入ってきて明るいですし、料理をすることが以前よりも楽しくなりました」(奥様)。
食事は外食よりも家でゆっくりと
階段を上がった2階には、2つの子ども部屋と寝室の3部屋をレイアウト。
階段の上からは東側と南側に切られたフィックス窓から外の景色が眺められる。
山から上ったばかりの太陽の光が差し込む朝方は、特に気持ちのいい時間となる。
「以前の賃貸暮らしの時と比べて、生活の質が大きく変わったことを実感しています」とIさん夫婦は話す。
「以前は見たい番組があるわけでもないのに、とりあえずテレビをつけていることが多かったですが、この家に住んでからはあまりテレビを見なくなりました。夜早く眠れるようになりましたし、朝日で気持ちよく目が覚めるようにもなりましたね」(ご主人)。
「それから、空間や照明の雰囲気が良く、以前よりも家で食べるごはんがおいしく感じるようになりました。外食をする回数が減りましたし、外出をすることも減ったように思います」(奥様)。
ごはんを炊飯器ではなくストウブ鍋で炊くようになったのもこの家に住み始めてからの新しい習慣だという。
窓辺や棚などのちょっとしたスペースには植物がしつらえられており、ゆとりを持って日々の生活を楽しんでいることが、家の随所から伝わってくる。
たくさんの住宅を見学し、自分たちが家に求めるものが何であるかを自己分析。そして、密な打ち合わせを繰り返しながら慎重に家づくりを進めたIさんご夫婦。
「控えめに言って、最高の家ができ上がりました」。
そう話すご主人の笑顔には、大きな達成感と満足感が現れていた。
I邸
新潟市北区
延床面積 105.39㎡(31.79坪)
構造 木造軸組工法
竣工年月 2020年4月
設計施工 株式会社モリタ装芸
写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平